文化は誰のため?講演会「アートな入間のまちづくり」レポート

入間市の「市民提案型協働事業」の講演会「アートな入間のまちづくり~文化振興指針策定に向けて~」に行ってきました。
協働の主催者は「あそびあ~とこども劇場いるま」と入間市。
協働でこんな講演会できるなんてすごい!(文字と手話によるサポートもついてた)
きっと一緒にやるって大変なんでしょうけど、行政と市民が同じ話を一緒に聴けるなんて、大きな一歩。

そして講師は 中川幾郎さん

何度かお話し聞いたことがありますが、行政と民間の実情両方をよくご存知で、各地の実体験をもとに関西弁で勢いよくしゃべります!なんかその熱さで圧倒されるんですよね~(笑)
かなり行政ワードも多いので、多分私の頭では理解度4割くらいだと思うのですが、あの情熱だけは届けたくてレポートします・・・私が印象に残った部分のみのざっくりレポです。
正確性はあまり期待しないでください。

住民には住民自治の責任がある!

まず基本的な知識として・・・
地方自治というのは予算執行や計画の策定が必要な
「行政が行う団体自治」と
「町内会や地域社会などで課題解決努力をする住民自治」があるんだよ!

そして、住民自治(教育も防災も福祉もその一環)が弱ってきているから、行政が大変になっているんだよ!

住民は、問題提起や請願や陳情もできて、「条例を作って欲しい」というのも有権者の50分の1以上の署名で発議されるんだよ!もっと言えば住民投票もできるんだよ(諸条件あるそうですが)

住民は、お客様ではなく、本来いろいろ出来ることがある。
そして住民ができることを住民がやれば、市の予算や過剰な仕事は減るんだよ!

だ・か・ら  市民の参画と協働が必要なんだよ!

という、のっけから住民の私たちにカツが入る(笑)こんな口調じゃないけど。

 

「文化」はだれのもの?芸術に触れることはすべての人の人権だ!

ホール運営、図書館、博物館運営は行政に運営が委ねられている(法定外自治事務)
その文化って誰のため?

時間とお金と健康と家族に恵まれた人の余暇のため?
やりたいひとの自己実現のため?
そんなことになぜ税金を使うの?

そうじゃなくて、
貧困、障害、病気、マイノリティ、不登校の子、社会的弱者こそ生きるためにアートに触れるべきなんです!

発表したい好きな人たちだけの自己実現じゃダメ!芸術に触れることは、人権なんだ。
0歳から100歳まで、男女すべてそれぞれを対象とした演目がきめ細やかに保証されて、
平等に供給されるべきなのが文化施策なんだ。
チケットが売れるかどうかみたいなマーケット思考では公共劇場の成果は計れない。

でも現状、ホールは、チケットが売れやすい中高年向けの演目に偏った演芸場になってしまっているし、学校では芸術文化の時間はものすごく少ない。

だからこそ、そのために、

 

文化には専門職が絶対に必要

図書館には司書、博物館に学芸員が必ずいるように、ホールの中にもアートマネジメントが必要。
声が大きく上がってくるわかりやすい要求(デマンド)ではなくて、市民の中の潜在的な必要課題(ニーズ)を見つけ、解決できるのが専門職。

地域の中にもコーディネーターがいることが大事。
そしてホールの中と市民の側をつなぐ役割を育てていくこと。

そこに職業的な位置づけ(お金を発生させることも必要)をすること。

そして

 

これからの市民と行政がやるべきことは、真の参画協働

事業をやるときだけの協働じゃなくて、市民がプロセスから入ること。

行政と対立することじゃなく、対等に相互理解を深めて、中に入って一緒にやること、
もめてる課題を公開すること、共同経営の自覚を持つこと、市の財政も勉強すること。

国で改定された文化芸術基本法は、より立場の弱い人に目を向けて文化芸術の機会を作ることが求められている。
それを行政に落とし込むための文化振興条例が必要。(埼玉で条例策定されたところわずか三箇所・・・)
単なる計画だと首長が変わったら計画がゼロに戻ってしまう危険性がある。
(大阪でそれを阻止できたのが条例があったから)
スキルも育たない、成果を生かして次につながらない、
だからこそ条例を制定し、審議会を設置し、プロセスが公開されていることが必要。
条例を作るために、市民の側でも公開シンポジウムやタウンミーディングや、意思形成過程が大事。
できることはいろいろある!

 

 

まとめと決意(笑)

たくさんありすぎてまだまだあったのだけど、市民も行政マンも、両方が中川さんからの熱いカツをもらった感じです(笑)
私がぐさっと来たのは、
何よりも「弱い立場の人に向けてこそアートが必要」というキーワード。
わかってるつもりでわかってなかったなあ~
そしてアートに触れる機会の保障というのは、やりたい人の自己実現の手段じゃないということ。

あとは、とにかく「行政はわかってくれない」という対立構造を私たちが作ったらその時点で負けだな(笑)と。「協働」に持ち込むためには「対立」したら相反する。

先は長いけれど、私は、アーティストと市民、子どもとの物理的な接触機会を増やしたいな。

アーティスト、ものづくりの人と出会うと(作品を通しても生身で出会っても)大人も子どもも関係なく、出会うだけで場が動いたり、人が元気になったり、物事の流れが変わるのを目の前で見てきているから、それが生きる力や街の幸福度にもつながると信じているから、そのために私はそこを繋げたい、結びたい。

で、そのためには小さくてもできることを、したたかに、いろんな人を味方につけながらやるしかないのだな~と思いました。
ああ、お隣入間市は文化振興指針の策定に向けて、市も動いていますよ。
うらやましいな〜なんて言ってる場合じゃないわ(笑)