エッセイ

私の沖縄ノートのきれはしvol.2 [1980年 父と昭和] エッセイ

私の沖縄ノートのきれはしvol.2 [1980年 父と昭和]

1980年 父と昭和 「お父さんはパスポートを持って日本にきたんだぞ。沖縄はお前が生まれるちょっと前まで、アメリカだったんだぞ。お金はドルだったし、車も右側通行だったんだぞ」 父は、生粋のウチナーンチュである。沖縄本島で戦争中に生まれ、母(私の祖母)に女手一つで育てられ、高校卒業後、集団就職で195…
私の沖縄ノートのきれはしvol.1 [2021年 首里城の御庭の前] エッセイ

私の沖縄ノートのきれはしvol.1 [2021年 首里城の御庭の前]

2021年 首里城の御庭の前 2021年10月、7年ぶりに訪ねた沖縄は、静かだった。那覇の国際通りは、緊急事態宣言が解除されてもまだ休業している飲食店も多く、以前なら数十メートルおきに声をかけてくる客引きや陽気なタクシーの運ちゃんにも(「ワンメーターでも乗っていきなよ」にいつも笑ってしまう)、道端で…
「海をあげる」から渡されたバトン エッセイ

「海をあげる」から渡されたバトン

筑摩書房「海をあげる」上間陽子  なんとも優しいタイトルだ。青が基調の装丁、ページをめくるとおだやかな目次がならぶ。ゆとりのある文字組みで、幼い娘さんの微笑ましいエピソードから始まる。そのソフトさからは、ほっこりとおだやかな日常エッセイが始まるように思われるが、私はわずか20ページで涙が止まらなくな…
9月1日のひとりごと エッセイ

9月1日のひとりごと

9月か・・・ため息(笑) SNSにアクセスしても、言葉を失ってしまって、そっと閉じる、の繰り返しでした。夏が終わるから、なんとなく近況です。 緊急事態宣言下での今年の夏は、いろいろ引き裂かれる気持ちの多い月でした。喜多方のフェスになんとか出演できて、岐阜や豊田の公演が、主催者の大いなる努力で実現でき…
言葉の沼に沈む。友部正人ライブ エッセイ

言葉の沼に沈む。友部正人ライブ

友部正人さんのライブに行った。 私が尊敬している人が尊敬している、というので、名前だけは存じていたものの、曲をほとんど知らずにいったのだが、言葉の沼にすぷすぷと沈められて帰ってきた。 聴き始めは、なんか普通のフォークだなあと思ったのだ。だけど、だまされた。その世界は3畳間にとどまらず、というか3畳間…
500字書評:人新世の『資本論』 エッセイ

500字書評:人新世の『資本論』

「資本主義はもう終わる」と半ば直感的に感じたのは2017年頃。 小さくて有機的なコミュニティが同時多発的に増える一方、拝金主義も跋扈して、その断絶に愕然としていた頃だ。 私より10年若い斎藤幸平さんのこの本は、緻密なマルクス研究の上に立ち、真っ直ぐに資本主義を「終了宣言」させている。見事な説得力。 …
努力や想いの届かない世界にある自由 エッセイ

努力や想いの届かない世界にある自由

秋晴れの今頃は、普通の生活にもどっているだろうと、3月の頭には思っていた。 依頼されていた舞台も、「秋なら大丈夫だろう」と当初思われていたから、この時期に延期になっていた。 というわけで、今は、その舞台をどう実施するのかという対策や、文化庁の補助金によって企画されたものなど、様々な仕事が飛び込んで来…
生きていくことはリスクを取ること エッセイ

生きていくことはリスクを取ること

舞台の再開が徐々に始まりましたが、正直制作者としての私は迷いまくりです。 実際に再開の現場にも立っているので、生の音楽、生の舞台が人へ与えることのすごさを目の当たりにしているし、自分の心身でもそのエネルギーを実感しているから、「やっぱり舞台は生だ」と確信を持っている。 それでも、この先具体的にどのよ…
慌ただしくなったのに、コロナは終わってない エッセイ

慌ただしくなったのに、コロナは終わってない

コロナと生きる2020年の日記。だいたい私は忙しくなると日記を書かなくなるので、この日記を自然と書かなくなった頃には、コロナが終わっているのだろうな〜と呑気にかまえていたのだけれど、残念。日記が途切れたのに、コロナは終わっていない。 6月に入り、延期された公演の再調整が同時多発的に始まり、どのような…
戻りたいのは、人間らしく生きる場所を制限して、人間らしくいられない場所を野放しにする社会じゃない エッセイ

戻りたいのは、人間らしく生きる場所を制限して、人間らしくいられない場所を野放しにする社会じゃない

緊急事態宣言が開けて、周りが一気に賑やかになり始めて。駅も、道路も、施設も、「え!?」と思うような人混みに、自分の意識の変化が追いつきません。もうちょっと、ゆっくり体制整えないとまずいんじゃないかなー?一気に「経済優先」に戻ってしまったようで、怖いです。コロナと生きることになる今後も、自分の行動指針…