みえないもの

白いへび眠る島

三浦 しをん / 角川書店

私は、自分が特に幸せだとも不幸せだとも思わない。
何か才能を与えられているとも、特別な役割があるとも思わないし、常に感謝して、美しく生きている訳ではけしてない。
やなことがあれば全てを恨むし、未だに溶けない憎しみもあるし、どろどろした嫌な感情なんて日常茶飯事だし。
運がいいとも悪いとも思わないし。ふつうだ。

いろんな部分で感じやすいとは言われすぎてそれにはなれっこだけれど、
どっちかっていうと、今は、例えば、厚い雲の切れ間から細い細い光になって、なにかがわずかに見えているだけで、目を凝らしてもちっとも全貌がみえず、感じやすいどころか、あそこにあんなに明るく光るものがあるのに自分には実態が見えなくてにぶいんじゃないか。と思っている。
見たい肝心な所が曇ってる、このもどかしさがたまらない。

それでも。
私はなにものかに祝福され、守られている、という感覚をずっと持っている。
小さい頃はものすごくちゃんとその感覚を持っていた。

・・・この物語を読んでいて、その感覚を思い出した。
誰でもそうなのに、忘れるよな、すぐ。
でも、あなたは祝福され、守られている事を思い出せ思い出せと、最近の出来事や出会いはみんな言う。
本を読む度に、新しい人に出会う度に、一度の本番を終える度に、みんな言葉にならない言葉で言うのだそうやって!
わかったよ!私は幸せだよ!!感謝するよぉ!
でも、当面の問題解決方法はわからないのだよ・・・

しかし、ヒントがあちこちにころがりだした。
あとは、見たいものを見る自分の視力だ。


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