音楽もの

楽隊のうさぎ (新潮文庫)
中沢 けい / / 新潮社

音楽を身近に置く仕事であるし、私も吹奏楽部出身なので、音楽ものの小説は、取りあえず手にとってしまう症候群。
そして、音楽ものであるだけで、なんとなく楽しめてしまう症候群。
なのですが、これつまらなかった・・・

文が、入ってこない・・・
同じ事を何度もまわりくどく説明していたり、誰に焦点を当てて書いているのかわからなかったり、描写が、いかにも文学風に「作られた」感じがしたり。
なんだか底の浅さが否めず、変な突っ込み所満載で。
小説の場合の文章の上手い下手って、本になってる位のレベルではあまり感じる事はないのですが、これ程、読んでて校正したくなる本もめずらしい。

思い入れだけで書こうとしてしまったのかしら。
たしかに中学校の部活の時代を思い出したりしたけれど、うーん。。。

ある特定の人に受けて、その読む人がこう感じるだろうと、狙って書かれているのが、なんだか不愉快。最近そういう作り方多いけど。

思うのだけれど、作品は基本姿勢が、「誰でもウエルカム」じゃなきゃいけないのではないかな。
見た人が、好き嫌いを決めて出て行くのはかまわない。
けれども、「こういう人向け」と初めから入り口を決めて書くのは、つまらない。
どんなに極端な、超個人的な物語だとしても、それはつきつめれば誰にでもあてはまる普遍性がある。その普遍性を信じなければ、わざわざ売り物にする必要はないし
そして、嫌いだと言われてもいい、心の底からそれしかできないんだもの、というのでなければ、世に作品を出す意味はない。

ああ〜、音楽ものだから、なおさら腹が立つのだろうなあ。


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