わかりあうこと


私に植物は向かない、と思っていたが、少しづつ、その距離が変わりつつある。
うちに初めてやってきた食べ物用じゃない植物は、小さながじゅまる。
沖縄から帰ってすぐに、こちらで一目惚れして買った。

ひとまわりおおきな鉢に植え替えるように書いてあって、素直にそのようにしたら、
なぜかすぐに弱り、ハダニがついて、大いに焦って「観葉植物事典」のようなものを立ち読みすると、ハダニを薬で駆除するよう書いてあった。

んー。

うちは、私は薬を飲みません。
あんた、この家に選ばれて来た以上は、簡単に薬をあげるつもりはないの。
植物だからと言って特別扱いはしないのよ。
けど、必要な手はちゃんとかけるから、頑張りなさい。
観葉植物だからって遠慮してないで、どんどん大きくなりなさい。

と、こんこんと言い聞かせた。本当に言って聞かせた。

そしたらいうことを聞いた。
もちろん毎日じーっとじーっと様子を見たし、葉っぱをふいたり霧吹きしたり、出来ることはしたけれど、それにしてもそれ以来きっぱりと、
「うん、わかった」
という感じで、葉っぱを伸ばし始めたのだった。

植物、言う事分かってる。

ヨガの先生に、植物の気の感じ方を教えてもらって、
私なりに、「それぞれの気の形」が植物に関してはなんとなく感じられるようになった。
伸びたい方向や、生命体の流れて行く動きのようなものが、伝わってくるのだ。
今までは、公園とかの大きな木で体験していたが、うちのちびがじゅまるでも試してみた。
感じた!
彼は、くるくると細かな螺旋の形。
生きているのね。
と心から感激した。

それ以来、つかず離れずで、なんとなくがじゅまるとはうまいことやっている。
嫌な事があって家に帰りつき、彼の前に座り込んで葉っぱに触れると、いきなり泣けてくる事がある。
泣かせてくれたのね、と思う。
苦手な植物ではあったが、明らかになにがしかの交流が成り立っている。

生きているものである限り、分かりあうことは可能なのだ。
人間との方がよほど難しい。
本質だけでは付き合えないから、一度崩れてしまった関係を修復するのは難しい。
あなたも伸びて行きたいのね。その方向素敵ね。
って、それだけでつきあっていけたらいいのにねえ。


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