ライブ。生きること。

ちょっと前になったけど、ライブを見に行った。
仕事柄、関係者のいない舞台をなかなか見ることがない。
それでも芝居ならお気に入りの作家や劇団があったりするけれど、音楽は、相当頑張らないと知らない人を見ないので、えいっと気合いを入れて見に行く。

「知らない人を見る」というのがそもそもの目的だったので、知人がホームページですすめていた「FUNKIST」の出演するイベントへ。
前情報なし。曲も聞いた事なし。

蔵前「KURAWOOD」にて、行ってみれば沖縄終戦の日イベントでした。ひゃー。
出演チーム5〜6団体あったかな。

1組目から3組目位までは、スタイルばかりの自己愛と自己否定の固まりのような音楽で、とにかくなぜお金を払ってこれにつきあわなければならないの、と思う程。
つまらなくて帰ろうかと思った。

流れが変わったのは、「月ノ魚」というバンド。
ギター、ベース、パーカッションに加え、二胡、サックス、歌い手はジャンベを叩いて民謡のような声で歌う女性。無国籍だなあ。
超エンターテイメント。
エンターテイメントって、軽くて楽しいってことじゃない。
その人たちがぶったおれるんじゃないかってくらい、全力で生きて表現している生命力が、面白さや感動に変わるもの。
と思わせてくれるようなバンドでした。
いい感じによっぱらってて、ケレン味たっぷりで、ライブってこうだったなと思う。
前に見た花組芝居に、ちょっと雰囲気が似ているかも。

その後に、「Bivattchee」というバンドのボーカルの堤晋一さん(だったかな)がソロで数曲。
このひとがとんでもなくよかった。
歌う事が生きる事そのものの感じ。
心の扉フルオープンで、等身大そのままで観客につつみかくさず向き合っている気がする。
結局音楽って、その人の生きる姿勢だなあ。
この人がアカペラで歌ったオリジナルは、もう音楽には聴こえなかった。全身での語り。聴けてよかった。

で、ラスト「FUNKIST」
メジャーデビューが決まっているそうで、今のっている時期のよう。
お客の大半はこのバンドのファンで、曲毎の参加形態、動きが暗黙のうちに決まっている。私、それがまず苦手・・・
バンド自体には、明確なメッセージがあって、差別の問題や戦争の問題は、ボーカルの方の生い立ちも関係あって大事に歌っていくテーマになっているようだった。
ハートフルで暖かくはあるけれど、ちょっとウエットに偏っていて、少し私の好みとは違った。
でも、コンセプトがあるバンドというのは強い。がんばれって思う。

おもしろかったのは、お客さん。
大半がお目当てバンドがあって、他は見ても見なくても、という感じ。
他のバンドを一度は聴いてみるのだけれど、特に前半のバンドは1曲目で、大体みんな目配せをして友達同士ホールを出てカウンターでおしゃべりしたりお酒飲んだりたばこ吸ったり。
でも1曲目が面白ければ、中で最後まで一緒に聴いていた。
ただ好きか嫌いか、だけで聴いている。当たり前だけど、お客さんも賢いのだと思った。反応はダイレクトで正直。それでいいんだと思う。

日本の音楽の裾野は広い。面白いものも下らないものもごっちゃになって存在している。素敵な人というのは、ごろごろ、あふれるようにころがっているのかもしれない。
自分の見ている世界だけが全てではない。作られた概念に囚われたり、メディアを過信していては、見つけだせないものが山程ある。
日本人は・・・とか言う前に、もっと見ておくべきものはいっぱいある気がする。

しばらくは知り合いにせよ知らない人にせよ、ライブ通いが続きそう。
どんどん、自分の中の基準が出来上がって、感度が上がる気がしている。


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