惚れた!

久しぶりにライブに行きたいなあ!と思う。
いや、ライブそのものはよく行くのだけど、この場合、知らない人を見たい。
関係者のいない場所、関係者じゃない人をぽーんと見に行った時に、初めて分かる自分の趣向みたいなものがある。
それを感じたくて、渋さ知らズの出ているイベントを見に。
正確には、無関係ではないんだけど・・・
でも、名前しか知らず、彼らがどういう集団かを全く知らずに観に行ったので、すごくワクワクした。

前半はその渋さメンバーもいるいくつかのバンド、ユニットが登場。
ジャズトリオ、カントリー系?、タンゴ、全員すごくうまくて、でも私はどうジャズを聴いたらいいかわからない。
演奏者が恍惚としているのにどう乗っかれればいいのかなあ、音のやりとりは、かっこいいのはいいんだけど、私はかっこいいを求めてる訳じゃないんだなあ、などぶつぶつ思いながら、見る。
面白いとうまいは、別物。
そして、うまいのに面白くないというのは、辛い。自分がいけないのかなあ、と思っちゃうから。

だから前半、私はいささか場違いモード。
これを面白く見れない私って失格!?みたいな気分だったのだが。
渋さ知らズが出て来たとたん、ぶっとぶ。
オールスタンディングをめんどくさいと思った私も、ジャズが分からないと思った私も、
あっというまにどこかへ飛んでった。
始めの爆音で熱いものがこみあげて、私、ライブで跳んだの初めてじゃないの!?
全く、すごい。全く、とんでもない。
知っている人には、説明不要だし、知らない人には説明してもけして分からない世界なのだが。

一時間半ノンストップで曲が続き、各メンバーがじっくりとソロを回し、その中に全く関係ないダンサーが客席にいる。
エンターテイメントとして突き放した目と冷静さで、回りを熱狂に巻き込む。
全てをまとめあげている指揮(というのか?途中でタバコすったりビール注文したりしながらも、あ、ちょっと演奏が膠着してきた、という瞬間を見極めて絶妙に軌道修正をする、あの人)の采配がものすごいのだろうと思った。
全員の確かな技術もさることながら、単にうまい人がやっているということと、うまい人をちゃんとまとめて全体像を見ている人がいるということは、全然違うんだな。

エンターテイメントの質を、メディアとは全然違う世界で培ったということも、よくわかった。
ええ、大麻で捕まったメンバーがいたというのは、賛否はともかく、さもありなん、という納得せざるを得ないトリップ感。
ただし、演奏のトリップ感は、あくまで理性的。
聖なるものと俗なるものの両方をちゃんと持っている感じだった。

うぶな中高生時代に見なくてよかった!ブラスとは、という概念が覆ってしまい、人生を誤るところだった。

私のいる世界がいかに狭いかを思い知らされた。
まだまだ社会通念に縛られてものを考えたり作ったりしてるんだなあ、私。
これを正々堂々20年やって来た人がいるのだから、もっと思い通りに生きても大丈夫だろう!という、訳の分からない勇気もわいて来た。
時には自分のいる世界を飛び出して、違うものを観なければ、本当に好きな事は出来ないのかもしれないなあ。
そうやって小気味よく自分の世界を壊される快感を何度も味わって、自分の骨組みは強くなっていくんだなあ。


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