最後の砦

ちょっと前ですが、島崎智子レコ発ライブに行ってくる。

彼女の存在と楽曲は、ばりばり同年代の私にとって、もう人生の一部となった気がする。
彼女の視点は、本当に独特で、他に代わりがきかないのだ。

彼女の楽曲は、胸が詰まるようなリアリティにあふれているが、最近、人をちゃんとこばかにしたような、達観したシュールさが出て来て、その歌詞といい歌いっぷりといい、ふてぶてしいこと限りない。
でもそれを面白く思ってしまう自分も、相当性格悪いのだなあ、とにやにやする。

前半ソロは、そんな世界観をたっぷり堪能。
弾き語りは言う事なし。
そして、どのアーティストを観に行ってもかならず思うけど、新曲発表というのは特別だ。
どんなに好きな曲があっても、どんなに新曲がたどたどしくても、やっぱりそこに向かうエネルギーは新しいものが常に一番面白い。
それを打ち出してくる気迫が、伝わるのかな。

二部は初のバンド。
彼女の曲は、バンドにとても似合うと思う。
ただ座った位置の問題もあるけれど、ピアノが聴こえない。
そして声さえも、聴こえづらい。

だったら、ピアノいらないじゃん。と思ってしまった。
そこそこエネルギーも音圧もあるバンドメンバーに対峙するためには、
真っ正面向いて、ピアノに寄せるエネルギーも全て歌に込めるくらいで
客席で聴く側にはちょうどいいのだと思う。
逆にそれをしない最後の逃げ場がピアノになっている気もする。
自分のテンポ、自分の音楽性を、バンドメンバーに最後の最後の所で明け渡さずに
ピアノで仕切っている感じ。
もったいない。

ベースの人などは、楽曲をちゃんと理解してくれている感じがしたし、ギターも歌心がない訳じゃない。
だったら小編成で、彼女はまっすぐに立って歌う。
音楽的な大事な決めはバンドにゆだね、彼女はただ歌詞の世界を伝える。
それでいいんじゃないのかと。

そこまで望むというのは、彼女の伸びしろがずっとずっと先まで続いているからなのでしょう。
もっとも、期待する側は無責任。何を言っても責任なんてとらないのだから、彼女の思うままに音楽になっていってほしいなと思いますが、それを伝えたくなるほど、最近の彼女の曲にぞくぞくするのも事実。
本当に、伸び続けていく彼女を、ずっと見ていきたいと思う。


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