アーティスティックな裏方

仕事道楽―スタジオジブリの現場 (岩波新書 新赤版 1143)
鈴木 敏夫 / / 岩波書店

私は昔から、裏方好きで、主役のそばにいる重要人物、という人々の言葉がすごく気になるのですね。
岡本太郎よりも岡本敏子。
そして宮崎駿よりも鈴木敏夫。
よりも、というのは不正確だなあ、主役の創る物が好きでなければけして興味は湧かないから。

で、鈴木敏夫さん。
感想というより、こうありたいなあ、という現実的な夢が重なって、興奮してしまって冷静に読めないのですが。
ハッとする言葉がたくさん。
プロデューサーとは、とことん監督の味方であること。
けれど、率直に意見を述べる事、監督の曖昧なイメージを言語化すること。
会社を大きくすることではなく、納得の行く作品を創ることに全力を注ぐこと。

とにかく、この人は現場の悲喜こもごもを全てちゃんと共有して、なおかつ冷静に処理しているのだろうなあ。

いい字を書く人はアーティスティックな人だと、私は過去の経験から勝手に決めているが、彼のタイトル文字やら年賀状やら宣伝用文章なんかを見たら、この人は宮崎さんに負けず劣らずアーティストだと思った。
アーティストじゃなきゃ裏方はつとまらないのかもしれないな。

それにしても、ビジネス書なんてくそくらえと思ってますが、こういうものが、ほんとに読む人のモチベーションを上げるビジネス書というのだと思う。
興奮させないマニュアルだけのビジネス書なんて、嘘でしょ。


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