普段着のようなマイム@Moon,moon,moon

だいぶ過ぎてしまいましたが、
今月はじめ、若手パントマイミスト金子しんぺいさんのパントマイムソロ公演に行ってきました。

実はつい最近、地元で拝見していて(その時のレビューはこちら
限られた観劇予算とスケジュールゆえ、まさかすぐに観に行くとは思っていなかった(笑)

でも観に行ったのは、金子さんが、うちのスタジオに音楽録音依頼をしてくださって、いらした時の、その姿勢からでした。
私は前作のレビューでも書いた通り、
音楽の使い方や、作品の「芯」の部分が気になっていましたが、
録音現場で、金子さんが実際に作品を動いて見せてくれて、
シモシュは、集まったミュージシャンたちと話しながら、意見を出しあいながら、音楽をどう録音するかをじっくり決める。

初対面同士でも臆せず意見を言うミュージシャン、
それをまっすぐ受け止めて鮮やかに変化していくマイム。
その変化っぷりたるや、若いってすばらしい、否、受け止める柔軟さがすばらしい。

ピタッと音楽と動きがはまって、稽古場で立ち会ったみんなが思わず涙するような瞬間、
それは彼のピュアな心根がみんなに伝わった瞬間で、
わ~美しいなあ、これを舞台でちゃんと観たいなあ、と素直に思えたのでした。

というわけで、関係者として関わってしまった作品には感想は書けないのですが(創る場で伝えてるから当たり前です…)観劇の記録。

第一部、なんとコントラバス生演奏とのマイム。
サウンドがユニーク。これを選ぶ勇気がすごい(笑)
ああ、単に音楽を依頼した関係性じゃなくて、きっと一緒に作ったんだ、
お互い楽しかったんだ、と見える作品でした。
やっている側がお互い楽しいって、本当に大事なことで、何よりお客様に伝わることでもある。
だからこそ、より見やすく、伝わりやすくする客観的な視点は必要だと思うけれど、
(わかりやすければいいのではなくて、お客が分かりたいポイントは伝わるように)
クスクスできるポイントは多数。

後半の完全ソロ舞台も、
ちゃんと音響さんと照明さんとチームワークが取れているのだなあと思え、
最終盤では、久々にマイムで涙。
現代の若者の、素直な普段着のようなマイムでした。

それにしてもやっぱり舞台は総合芸術だな。
生活の場やイベント会場で手の届く距離でふらりと見るものも素敵だけど、
ちゃんとした小屋で(天井は低すぎたけど)
ちゃんとしたスタッフで、
ちゃんと、夢の世界へ連れていくことは、総合芸術の舞台ならではの魅力。

でも、最後の挨拶って、私は具体的にパントマイム愛を語らないほうがいいと思うんだよな~
思いは思いとして、そこはドライにとにかく作品のみを見たいと思う私のほうが少数派なのかもしれませんが。