英語字幕で楽しむおうち映画レビュー2 「イミテーションゲーム The Imitation Game」

Netflixで、「イミテーションゲーム」観ました。

The Imitation Game | NetflixDuring World War II, a mathematician leads a team of cryptanawww.netflix.com

もともとは、同じくNetflixドラマの「シャーロック」を演じていたイギリスの俳優、ベネディクト・カンバーバッチが素晴らしくて、そのドラマつながりで観ました。若干シャーロックとキャラかぶってますね。

気難しくて人付き合いもろくにできないカンバーバッチ演じる天才数学者アラン・チューリングが、第二次世界大戦中、誰にも解読できないと言われたドイツ軍の暗号エニグマを読み解くためのプロジェクトチームに抜擢されます。プロジェクトメンバーと共に、暗号を解こうと奮闘する実話を元にした物語。
メンバーとなかなか上手くやれないながらも、彼のとてつもない才能と、解読にのめりこむ様子に仲間たちもだんだん協力し始め、ついに解読までたどり着くが・・・

というと、なんだかハッピーエンドのようなイメージですが、いやいやいや。
これはもう重厚なドラマの得意なイギリス映画らしく、数学謎解き的な面白さに加え、こいつがスパイかよという推理ドラマと、チームメンバーの人間ドラマを描きつつも、同性愛者に対する国家的な弾圧の歴史と、テーマが何重にも絡み合って、複雑なドラマに仕上がってて、実に見事。
もう観終わった時、どう感情を整理していいかわからず、呆然・・・

白状すると、これも英語字幕で観始めましたが、思った以上に用語もストーリーも複雑で、一度見終わった後、日本語字幕で見た後に、さらに英語で観ました。
都合3回観たわけで、日本語だけで観ても、一回で全てを理解できないような複雑系シネマ、これこそ私好みの映画でございました。
いやー、堪能。

全然感情を表に出さない天才数学者が、だんだん仲間に心を開いていく様子が、顔や声色のちょっとした所で感じられる、あのカンバーバッチの繊細な芝居がすばらしい。眉毛の動きひとつまで完璧にコントロールしてそうな緻密な芝居です。
そして、公私共にパートナーとなり、最大の理解者である女性ジョーン・クラーク(キーラ・ナイトレイ)の清潔感のある魅力に惹きつけられ、特に二人のやりとりは、胸が締め付けられます。

人とは違う部分を、能力の面では利用され、性質という面では迫害されたアラン・チューリング。
権力は、その人の才能だけを搾取していく。でも、一人の巨大な才能が生み出したものは、後世にまで大きな影響を与える。
アラン・チューリングが必死に守って作り上げたものは、当時の人から見たら、最後まで何のことやらわからなかったと思うけど、今の人たちは、「これか!!」とすぐにわかる。それを映画で見せつけられることの面白さ。

感情と、知的好奇心両方が満たされる、ずっしり重量感ある稀有な映画でした。

さて、英語学習的には、正確には英語字幕で理解することは難しかった作品ではありますが、俳優たちの綺麗なイギリス英語には惹かれます。あんまりわからなくても、ずっと聴いていたいような、上品な英語。それだけでも英語学習面で十分収穫でした。


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