嬉し悔しい仲間の舞台試演会「らくだ」

はぐはぐ☆カンパニーの新作「らくだ」の試演会に行ってきました。

これは、固定の劇場で一定期間上演するような舞台ではなくて、
あらゆる生活の場を会場にして、全国各地で上演するための芝居。
だから、立派なステージの上で芝居が進行しているのではなくて、
手を伸ばせば役者に手が届いてしまうような距離で、観る。

こんな作品が多数全国を駆け巡っていて、それによって初めて子どもが生の舞台に出会うこともたくさんある。
私たちもいろんな場にお邪魔して、コンサートをやってくるけれど、
音楽以上に、生活の場や人の集まる場で「物語」が始まるなんて、夢のようだなといつも私は思ってしまう。

シンプルだけどよく考えられた最小限のセット。
そして出演者は二人だけ。
紙芝居師と俳優。
小さくて、しょぼいんじゃないの?なんて思うなかれ。
何人もの登場人物と出会う(念のため…比喩です笑)
見事に大型芝居(念のため…比喩です笑)でありました。

試演会なので、テンポや展開がハラハラする所、観ていてちょっと迷子になる所もあるのだけれど、
最終的にはほろっと泣かされ、泣かされた瞬間に爆笑してしまうしかけに、
悔しいやら嬉しいやら。
笑わせながらもぴりっとした皮肉。
「今の社会にもの申す」っていう姿勢じゃなくて、
「あれ!?もしやあの事を皮肉ってる?」というほのかな苦み。

この日はおそらくこの芝居の対象とする年代よりは小さな子達がたくさん観に来ていて、
ストーリーは難しい部分もあったのだろうけど、彼らは役者の熱気をちゃんと感じていました。
子どもはやっぱり優しいんだな、ちゃんとみて、うけとってる。

そして、試演会場を提供するにとどまらず、何年も継続して地域の子ども達に生の舞台との出会いを作っているお寺、一心寺。(ご住職のブログ
住職の熱い思いが、集まる人たちのあたたかな空気を作っていて、始まる前から胸がいっぱいになりました。
そうそう、お寺は人が集まる場所だったよね。

あーあ、素敵な空間で素敵なものを観ると(そしてそれが冒険中であるとなおさら)
いろんな事を思って、なんか涙がでちゃうよ。
生意気ながら舞台仲間だし商売敵(笑)でもあるのですが、本当に、たくさんの人がこの舞台に出会えますように。
私らも負けちゃいられないけど。