うそのない言葉

芝居を観に行った時、関係者に「おつかれさまー」と挨拶をしまくっている途中で、お客さんの中に知人をみつけ、ついつい「おつかれさまです」と挨拶をしてしまった。

すると彼女はにっこりとさわやかに「今日は楽しんだだけだから、おつかれじゃないよ」と。

なんだかその言葉にノックアウト。
このひとは、言葉の意味をちゃんと受け取っているんだなあと。

私は、過剰なくらい言葉の力を信じているし、言葉で嘘をつくのが嫌いだ。
思ってもいない「ありがとう」とかおせじとか、どうしても偽って言葉にする事ができない。
愛想笑いくらいならできるけども。

でも、ついビジネスっぽい決まり文句を使ってしまう。
別にそれほど縁のない人にまで「お世話になってます」とかね。
すらすらと心を通らずに出て行く決まり文句達。
それを、ちゃんと言葉として、そのままの意味として受け止めた彼女の正直さに、なんだかちょっと感動してしまった。

言葉で嘘をつかないということは、相手にも嘘をつかせないという思いやりも含むのだな。
うすっぺらい言葉に日々怒り狂っているのに、こういう時同じ事をしている自分を恥じます。

生きた本当の言葉を使いたい。

もし、彼女に本当の言葉を言うとしたら、あのときは「おつかれさま」じゃなくて、
「ここで会えて嬉しい!」だったのだ。
別に数年ぶりの再会でもないのに、なかなかそんな言葉はこっぱずかしくて、言えるものじゃないけれど。
そのこっぱずかしさをカムフラージュしたり、本心とは違う事を伝える便利な表面言葉は、
大事な人には通用しない。

瞬間瞬間に、自分の心を偽らずに言葉と態度で伝える。
難しいけれど、しばらくは私のテーマです。


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