Yes,This is it!
もう、誰もが書いているし言っているので、今更いいかと思いつつ、
しかししばらく前に見てから、
頭を離れなくなってしまったので、書いておこう。
マイケルジャクソンのことは、私、好きでもなんでもなかった。
むしろ伝えられるその奇行に眉をひそめていたくらい。
しかし、亡くなるひと月くらい前、何かの映像でマイケルを見て、どきんとした。
すでにあまりにもう、遠くに行ってしまっていて、生身の人間じゃないみたいだった。
そのかわり、彼の音楽の正確無比さ(音楽としてのあるべき正しさ)に圧倒的な力を感じて、
ああ、この人もうすぐ死んじゃうなあ、と思ったのを覚えている。
しばらくして、本当に亡くなったというニュースを聴いた時、私の予感のすごさ(笑)よりも、音楽が伝える事の正確さに、ちょっと恐怖した。
ちゃんと音楽そのものになってしまった人は、ミューズが近くに呼び寄せてしまうのかなあ。
と、ぞっとしたのだった。
「This is it」は、その映像を見たときの神々しい恐怖みたいのが、数倍のエネルギーで襲って来て、感情と感覚の起伏が大変であった。
舞台を創る側の人間として、あんなに悲しい映画はないだろうという思いと、
この人の死は、ちゃんとプログラミングされていたミッションなのだと納得させられてしまう悔しさとが交互に襲った。
しかしまあ。惚れますよ。舞台人としてあの人は。
完璧に描かれている彼のビジョン。
それを実行に移していくまでの、丁寧で真剣ななチームプレイ。
そして、それがどんなに一流の人の手にかかっても、理想とはほど遠いものである絶望。
彼の抱えている孤独の意味は、この映画で、初めてほんの少し分かった気がした。
作品を作るということは、あらゆる角度から死に近づく、死に迫ることなのだな。
命をいけにえにする以外の(自分の命も他人の命も)作品創作は、ないのかもしれない。
だから、本番ではないリハーサルも、同じ作品としての価値がある。
未完は無ではない。死は、無ではない。
いろんな人がいろんな事を感じるだろうけど。私は、そう感じた。