「インクルーシブ」を端的に表す舞台

舞台仲間たちが多数関わっているインクルーシブアーツフェスティバル、16日、ベイビーミニシアターと海外招聘作品を観ました。

海外招聘作品、すばらしかった!
レポートします。

「四角い世界」ダリル・ビートン(イギリス)

車椅子の演者の前にある机の上に並ぶ積み木の建物。
そこで生きている、不思議なみっつの生き物。
言葉がわからなくても(誰にもわかるようでわからない宇宙語を話してます)
みっつがそれぞれ個性豊かで、仲がいいのがわかります。
一緒に乗り物に乗って、建物に入り(それがどこかはそれぞれの想像・・)
一緒に遊び、一緒に帰ってくる。
でも、そのうちのひとつが、演者の車椅子に轢かれてしまう!

演者は、轢かれて形の変わってしまったのを元に戻そうとしますが、
それはいびつな丸になっちゃって・・・
四角の三人組がいつも乗ってた乗り物にも乗れなくて、行ってた場所にもいけなくて、
車椅子の演者に怒りをぶつけるのですが・・・
偶然に、いびつな丸でも行ける場所がある、行ける方法があると気づいて・・・。
最後は、ここでは説明しませんが、なんだか観客の事も受け入れてもらえたような、自分が大事にされて世界に暖かく包括されたような素敵なしかけで終わります。

ゆったり流れて何も起こらないと思われる中から一瞬でドラマが起こるその瞬間と、
最後にいびつな丸がわーっと感情を爆発させるところ、
そして観客が受け入れてもらえたと感じるそのしかけに、思わず涙。
パンチが効いているというか、雰囲気だけで作られてなくて、ちゃんとストーリーにも技があるんですよね。
そういえば余談ですが、パンフレットの作品紹介の中に、日本の作品にはほとんどない「ドラマトゥルク」のクレジットがあるのは嬉しかったな!

それに、日本の作品になかなか見られないことですが、演者の音楽への反応がすばらしくて。
音楽の流れとリズムとテンポ感に、ちゃんとシンクロする動き(すなわち心の動きも)。
観客への目線の優しさ。
その人の人格すべてで作品を演じ、作品を通して観客と出会う手応えを演者が本当にわかっている。反応がいいから出会っていることになるのではなくて、静かな反応を演者が信頼している。
そのこともまた、残念ながら日本の児童演劇ではまだなかなか私は感じることができないもの。
私たちは世界から学ぶことが山のようにあると感じました。

言葉はほとんどないのに、「インクルーシブとはなにか」ということを明快に端的に、教育的ではなく自然に伝えてくれる作品。
このフェスティバルを象徴する作品のように思え、出会うことが出来て良かった!


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