レビュー 17 8月 2021 今を生きる人たちがうたう、「大友良英Presents 武満徹の”うた”」 Eテレのクラシック音楽館「大友良英Presents武満徹の”うた”」をオンデマンドで観た。最近亡くなった立花隆さんの「武満徹・音楽創造の旅」を夢中で読んでいる途中で、にわかタケミツマニアなので、個人的になんともタイムリー。 そして、武満さんのうたを現代の歌い手と演奏家でディレクションするのが大友良英… 続きを読む
舞台レビュー 19 4月 2021 言葉の沼に沈む。友部正人ライブ 友部正人さんのライブに行った。 私が尊敬している人が尊敬している、というので、名前だけは存じていたものの、曲をほとんど知らずにいったのだが、言葉の沼にすぷすぷと沈められて帰ってきた。 聴き始めは、なんか普通のフォークだなあと思ったのだ。だけど、だまされた。その世界は3畳間にとどまらず、というか3畳間… 続きを読む
エッセイ 17 4月 2021 500字書評:人新世の『資本論』 「資本主義はもう終わる」と半ば直感的に感じたのは2017年頃。 小さくて有機的なコミュニティが同時多発的に増える一方、拝金主義も跋扈して、その断絶に愕然としていた頃だ。 私より10年若い斎藤幸平さんのこの本は、緻密なマルクス研究の上に立ち、真っ直ぐに資本主義を「終了宣言」させている。見事な説得力。 … 続きを読む
レビュー 2 3月 2021 1000字劇評:オペラシアターこんにゃく座「森は生きている」 舞台を見終わって劇場から外に出たら、風景が違って見える。そんな舞台はいい舞台だ。 オペラシアターこんにゃく座創立50周年記念「森は生きている」新演出・オーケストラ版を観た。この作品は、演出を変えて上演され続けているこんにゃく座の定番中の定番。私も3回くらい観ている。それを50周年を記念して新しい演出… 続きを読む
レビュー 7 2月 2021 テレビドラマ500字評「にじいろカルテ」 救急医療で活躍していた内科医真空(高畑充希)は、自身の難病により退職を余儀なくされ、自信を失った毎日。そんな時に過疎の村の内科医の募集を見つけ、病を隠して応募し、採用される。 熱烈な歓迎をする村民たちは変わった面々で、同僚の外科医師も看護師も一癖ありそう。着任早々の村民の事故の処置の後、真実を告白す… 続きを読む
レビュー 29 1月 2021 500字映画評「マイ・インターン」 若手女性社長ジュールスの元にシニアインターンとして入ったベン。初めは全くあてにされず、仕事もろくにもらえなかったが、彼の長年の経験からくる機転や、あたたかな人柄に周りの人が惹かれはじめ、次第にジュールスも信頼を寄せるようになる。 特別な趣向を凝らした作品ではないが、終始見ていて気持ちのよいのは、恋愛… 続きを読む
ブックレビュー 21 1月 2021 500字書評「仕事の話」 普段、本は電車の中で読む。ひとやすみのカフェで読むこともある。東京に行って帰ってくるあいだに一冊読み終えるのがいつものペース。 だが、都内に出ることも電車に乗ることも控える今、私はこの本を家で読んだ。布団の中やお風呂の中で。部屋の中で陽が落ちて薄暗くなるのにも気付かずに読んだ。何日もかけて、ゆっくり… 続きを読む
エッセイ 30 9月 2020 努力や想いの届かない世界にある自由 秋晴れの今頃は、普通の生活にもどっているだろうと、3月の頭には思っていた。 依頼されていた舞台も、「秋なら大丈夫だろう」と当初思われていたから、この時期に延期になっていた。 というわけで、今は、その舞台をどう実施するのかという対策や、文化庁の補助金によって企画されたものなど、様々な仕事が飛び込んで来… 続きを読む
エッセイ 13 7月 2020 生きていくことはリスクを取ること 舞台の再開が徐々に始まりましたが、正直制作者としての私は迷いまくりです。 実際に再開の現場にも立っているので、生の音楽、生の舞台が人へ与えることのすごさを目の当たりにしているし、自分の心身でもそのエネルギーを実感しているから、「やっぱり舞台は生だ」と確信を持っている。 それでも、この先具体的にどのよ… 続きを読む
エッセイ 1 7月 2020 慌ただしくなったのに、コロナは終わってない コロナと生きる2020年の日記。だいたい私は忙しくなると日記を書かなくなるので、この日記を自然と書かなくなった頃には、コロナが終わっているのだろうな〜と呑気にかまえていたのだけれど、残念。日記が途切れたのに、コロナは終わっていない。 6月に入り、延期された公演の再調整が同時多発的に始まり、どのような… 続きを読む