BBCラジオから飛び込んできたノートルダム大聖堂火事のリアルな悲しさ

その日の朝、最近の習慣で英語勉強のためにBBCラジオをiTunesで聴いていると、毎時のニュースで何度もなんども飛び込んできたのは「Notre-Dame・・・fire・・」という断片。

急いでBBCサイトに行くと(聞くだけでは何が起きたのかわからない私のリスニング力のため)ノートルダム大聖堂の燃えている画像がトップに。一通り読んで、Yahooニュースで日本語でも概要をチェックして、再びBBCラジオに戻ると、一気にこのニュースの圧倒的なショックが、耳からたくさん入ってきた。

今までニュースの意味がいまいちわからなかったのに、Notre-Dame cathedralのニュースは一気に耳が勝手にキャッチする。

周りで市民が沈黙して立ち尽くしている描写、市民の上ずった泣き声のフランス語を英語に通訳する声もまた悲痛で、大聖堂で自作の賛美歌を演奏していた音楽家の悲しみのコメント「ここは私たち音楽家のホームだった・・・」が冷静なだけになおさら辛い。
全てがリアルに意味を持って耳に飛び込んできて、中継の雑踏の中の歌まで聴こえた。

再びBBCサイトで動画を見ると、アヴェマリアを歌う市民の声(しかもハモってる・・・なんなんだろうこの文化力)

Hymns and shock after Notre-Dame firePeople gathered in disbelief as they watched the 850-year-oldwww.bbc.com

不思議なのは、日本語でそのニュースを見るよりも、圧倒的なリアリティを持って、フランスのみならずヨーロッパの人たちがどれほどこの火事にショックと悲しみを持っているかという肌感覚が伝わってきたことだった。

言っている内容は全てはわからないし、SNSで英語でどんどんアップされる最新情報も文章理解力は追いつかないのだけど、とにかく迫力を持って脳内に意味を伝えてくる。(ステンドグラスはどの部分が無事なのか、二つのベルの塔は無事なのか、中の歴史的な宝物たちはどうなのか、著名人はなんとコメントしているのかーー特にオバマとトランプの比較ーーこれをテロと早合点する人たちへの警鐘、これを政治的な意図で喜ぶ人や矮小化する人たちへの軽蔑とたしなめの言葉・・・SNSにはあらゆるリアルが転がっていました)

ところで。英語を勉強し始めて、圧倒的に変わったのは情報量だと感じています。
とにかく、日本ではリアリティを持たない問題、海外の出来事がどんどんニュースに上がる。
ここのところ「南スーダン」というキーワードばかりニュースに上がるので、日本語で調べたら、その民主化の大きな波は、ほとんど日本のサイトでは報道されていなかったり。

「令和」のニュースは「President ABEがその意味を伝えた」とあっさりしたニュースなのに、2020年のオリンピック関連のニュースとFUKUSHIMAはしょっちゅう関連づけて報道されていたり。(それでも日本の話題はほとんどありません。が、追記:ルパン三世の原作者のモンキー・パンチの訃報がBBCで報道されたことにはちょっと泣けました)

とにかく、物を見る角度は変わらざるを得ない、というのが英語を学び始めた変化の一つで、そこに一番リアルに飛び込んできたのが、このノートルダムのニュースなのでした。不思議と強く共感して、英語を聴きながら涙が出てきた初めての体験。

幸いにして死者のない、「建物だけ」の火災。けれど数百年の人類の美や英知や歴史がそこで失われていることの、深い深い悲しみ。それはおそらく人類共通の悲しみで。

願わくば、他国でも戦争や紛争や領土の問題によって、その土地の人々が大切にしているものがこんな風に(むしろ人の武力によって)失われているのだという想像力を、この火事によって私たち皆が学びたい。
だれだって、そいういうものを失いたくないのだと、私たちが肌で感じて、一歩歴史を進められる学びにしたい。

そしてそういう想いを、私は英語で記しておきたいのだ、あのリアルな悲しみのように、リアルな言葉で。語り合いたいのだ、日本以外の人とも。そのためにこそ、英語を学ぶのだな。
ということを、とにかく目まぐるしく感じたニュースなのでした。


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